展覧会より

下倉 節子 彫刻展
銀座アートホール2017.3

倉賀野 廣

shimokura.jpg
「初夏の頃」

銀座アートホールの会場に、大小合わせて20 数体あまりの具象樹脂彫刻群と、壁面に配置された「素焼」タラコッタレリーフの小作品群が展示されていた。

前回の個展より7〜8年の期間に制作した作品(下倉氏、談)を(自由美術出展の作品を含む)展示。会場に較べてやや点数が多く感じられたが、効果的にレイアウトされ置かれていた。

頭身大の10 点あまりの人物作品は、彼女の知り合いの人達であり、彼女の人柄か、温かな目で見て作られた。おおらかな温かみのある作品達であった。

小作品のレリーフのテラコッタ作品群は、デッサン感覚で制作したとの事です。細部にとらわれる事なく、自由に羽根を伸ばし、のびのびと楽しんで素焼特有の暖かみのある色合い、自由に制作を楽しんでいる事がよく伝わり表現されていた。

立体制作の最初の入口で、殆どの人達が通過する、具象彫刻だと思います。それゆえ批評眼を持つ人達、物が「存在する」「実際に在る」この現実。具象彫刻を長く制作する道を歩く作者にただただ脱帽。

「初夏の頃」は入口より正面奥に置かれていた。モデルは私の記憶では作者の教え子だったと思われる若い着衣女性像、小し顔を右上に上げ希望を表わしていて、大地をしっかりと捉えて存在する。

「MEGUMI」は、椅子に座った着衣座像、ボリウムのある形が美しい。

「冬の日」は、ブーツを履いた座る女性着衣像、落ち着いた、やさしい静けさ漂う雰囲気の作品で心地よい。

「アルハンブラの思い出」、この着衣の過剰なまでの表現は、おもしろい形と思うが、もうひとつ工夫があれば、もっと作品が生きて来るのではないかと思う。

「バレエレッスン」は、すくっと立っている美しさ、左右の腕を腰に当て素直な伸びやかな、若さ溌剌とした作品、作者一番の力作ではないかと思った。

具象人物制作、ましては頭身大となると、どうしても制作に力が入ってしまう。命ある、そこに存在する、見る人に感じさせる表現の難しさ。テラコッタ作品の自由でのびのびとした表現、このふたつを合せ持った作品を作ってほしいと思った。

下倉節子彫刻展

下倉節子彫刻展

人 つくりつづけて 

塑像作品を等身から小品まで、
30点余りを展示いたします。
自由美術協会会員・横浜美術協会会員

3月20日(月)~26日(日)

11:00~18:00
(初日14:00から最終日16:00)

銀座アートホール

中央区銀座8丁目110番地 コリドー街
03-3571-5170(代)
JR新橋駅 銀座口 徒歩3分
東京メトロ・都営地下鉄 新橋駅 5番出口 徒歩3分

▲TOP