小野清三
私の作品は、はじめにわら半紙に墨で何枚も納得のいくまで描いていきます。
最初に点のようなまるいかたちを画面に描き、これが最初の中心になります。そしてこっちともうひとつのかたちが入り、その二つのかたちがお互いに響き合い、二つのかたちの間に中心が出来ます。三つめのかたちは二つのかたちの関係をみながらこっちにと描き、又、中心が変わります。そのようにしてかたちが増えていき、中心も変わっていきます。最終的に中心が決まり、かたちが出来ると墨の作業は終わります。
<ミクロコスモスからマクロコスモスへ>
全ては、原子よりも小さい一つの点から始まり、球形に広がって行く。
モチーフは常に宇宙的である。
<風景(自然)の写生>
私は風景を描くのが好きで、よくスケッチに出かけます。景色をぼんやり見ている分はいいが、描こうとする風景を目の前にすると、その広大さに圧倒される。そこで私は、どこかに中心を見つけます。そうすると全体が見えてきて、その中心に向かって描いていきます。
<美術館>
美術館の広い空間に作品を置くと、画面の強さみたいなものが必要になります。
私は、彫刻家のジャコメッティの作品が好きです。彼の作品は、中心がしっかりしていて、求心力があります。作品の中心から広がって行って求心力で又、中心にもどる。そうです、呼吸が彼の作品にあります。
美術館の広い空間を作品に引き込む様な強さがあります。
<巨大台風>
今、日本列島に大きな台風が近づいている。よく見ると、巨大な台風ほど中心の目が強大である。
ガキのころ、あたり前の事が出来なくて反発すると、お前のツムジは左巻きと言われたが、台風もまた左巻きである。
今、話題になっている、現政権の集団的自衛権は、平和憲法からいえば、逆向(左巻き)している様に思える。
これが巨大台風の目とならない事を切に願う。